■ 『ネットの中の詩人たち 5』四六判 432ページ  詩人20名によるアンソロジー
                        島 秀生(しま・ひでお)/著

巻頭詩

プレゼント  瀬 未


私がまっすぐと思っていた道は
あなたを通すと
幾重にも屈折しているらしい

だからといって
まっすぐを否定された訳ではない
生き方を変える必要もない

ただそういう風に見えることを
教えてくれた

無造作にくれた
尊いプレゼント

お礼を返せるかどうか
わからないけれど

もしあなたに返せなくても
必要とする誰かに
いつか
ぽんと手渡そう
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あとがき

 もともと「MY DEAR」のサイトをスタートしたのは、亡くなった親友、故・池野幸の遺志を継いでのものであったし、詩集『ネットの中の詩人たち』第1集を出したのも、彼への手向けが主目的だったのである。その気持ちは今も変わらないものの、第2集以降、それは第一義ではなくなってきている。
 何故この本を出すのかと聞かれれば、大方の詩人たちがそうであるように、作品がかわいそうだからである。自分が書いた詩、それは自分の分身であるかのように、自分の子供であるかのようにいとおしく、「詩集」という「形」を与える詩人が多い。正確にいうと、ふつうの詩人は、それが「個人詩集」という「形」で現われるのだが、私の場合、それがそっくり『ネットの中の詩人たち』というアンソロジーの形で現われるのだと言ったら、わかってもらいやすいだろうか。
 自作の詩に限らず、私には私のサイトに書き込まれる他人の詩までもが、結構かわいいのである。捨て置けないのである。
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これはネット詩の特性でもあるのだが、草の根の書き手たちから、新鮮ないい詩がどんどん誕生しているにもかかわらず、意外に人の目に触れることなく、すぐに流れて消えていってしまう。その消失の早さに、私はちょっとずつの心の引っ掛かり(それでいいのかという想い)が残るのである。そしてそれは時と共に積み重なってゆき、その積み重なったものが、ついには一杯となり、溢れ出て、たまらず本の制作に走るのである。たぶん、それが一番、自分の心に正確な言い方ではないだろうか。
 サイト開設以来7年半で、5冊の本を出したことになるが、たとえばこの第5集でいえば前詩集から1年9ヶ月ぶりの出版で、その間コンスタントに発表されている約850作の作品の中から、やっと14%程度を救い出したというにすぎない。私にもっと時間の余裕があって、スポンサーも付いて下さるなら、本当はもっと数多く出せる、体力あるサイトであるのだが、5冊は私の微力の結果なのである。
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 ところで周知のことながら、書籍はもはや永遠に残るものではない。コンビニの新商品よろしく、あっという間に流通から消えてしまうものがほとんどである。書店店頭となると、さらにさらに過酷である。しかしながら、物理的には残る。この本を買ってくれた、誰かの手元には残る。それは、とてもとても嬉しいことなのである。
 今回、第5集参加者の年齢構成は10代1人、20代7人、30代5人、40代4人、50代3人の合計20名で、うち8人が携帯電話からの投稿者となっている。
島 秀生
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略歴
島 秀生(しま・ひでお)
1955年大阪府生まれ
日本ペンクラブ会員、日本現代詩人会会員
日本詩人クラブ会員、関西詩人協会会員
ネット詩誌「MY DEAR」主宰
サイト http: www.poem-mydear.com
掲示板 http:6007.teacup.com/mydearmasikaku/bbs 
メールアドレス mydearmasikaku@aol.com  

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