■新・日本現代詩文庫 52 『 大塚欽一 詩集 』

大塚欽一/著


 錯覚あるいは幻覚を遠ざけて、事実の実体に迫る詩のリゴリズムがここにある。人や事物に対する科学者の分析的な視力と、それをレトリックとして表現しようとする詩人の情感の間には、つねに乖離があるだろう。大塚欽一の形而上詩への道程にはいつもその煩悶があるように思う。
(石原武・解説より)
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「物語る」とは本来「〈私〉ではない他者との関係へと一歩を踏み出す冒険」を言い表す。しかし大塚の詩はあくまで抒情詩の曖昧性に固執し、魂の独白劇を形成していく。それはむしろ抒情詩の本領であり、そこに問題を指摘するより、抒情詩が初めから胚胎する問題性であるがゆえに、かえって偉大なる抒情詩人を称えて良しとすべきであろう。
(川中子義勝・解説より)
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ISBN978−4−8120−1671−8 C0192定価1470円(5%税込)

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