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高岡 力/著
くさそうな肉が黒い
屋根が落ち、壁が崩れ、柱が折れる。
―簡単なんです。お家なんてすぐに壊れちゃうんです―
危険で過激な妄想あふれる現代詩ニュータイプ!
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昼時
わたしのだと おもうけれど 動かすと
はるか遠くの指が動く
とても 手と手が入り組んでいて
おまけに 通常の数値とは違った
手 足 首の異常な長さだ
隣で絡んでいる男の人は もう どうなっても と
弱音をはく いわゆる
知恵の輪のニンゲン版で
一つづつ根気よく解いてゆけば
いつか 各々 お家へ帰れる
ここは ひとつ 協力です
と わたしは勇気つけるけれど
一つの腹が鳴りだせば 次々と胃
が鳴り始め 我慢の足りないお人もおり
手頃な指を頬張ってる 悲鳴があがり
どうも わたしの口からであり
やはり それは わたしの指で
とても骨が かたいのだろう なかなか
噛み切ってもらえずに 周りの肉のみ食べるので
痛い
こういう時は気絶です
と はす向かいの紳士はいうのだけれど
いった先から 腹が鳴り
わたしの頬肉をじっと見る
そりゃ 柔らかいとはおもいますけど・・・・・・・
そこらじゅうで 腹が鳴り
たぶん昼時なのだろう
悲鳴は止まず この分では
五体満足で
誰が この絡み合い
から 抜ける出る事ができるのだろう・・・・・・
でも 誰が残るにせよ
その人の血になってしまえば
その人そのものとして
やっと その人のお家へ帰れる
やっと 団欒が待っている
と おもうと 紳士の首も美しく 噛めた
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ISBN978-4-8120-1695-4 C0392 定価1,890円(5%税込) |
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