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■ 詩集 彩りをとどめて
日野 零/著 
謙遜とかすかな不安と静謐の底でふれるものは、時空の中に現われる無限でもなく唯一でもないその間に見えてくる存在の裸形である。空気のふるえを目でとらえようとするとき、記憶は陽のふる風の中に息づきはじめる。それは奥深い郷愁であり、心血を注いでその記憶を刻みこむ詩人の行為に、読み手は無上の歓喜を覚えるだろう。 (森田進)
ISBN4−8120−1454−9 定価2100円

詩集 ミニファーマー
和田 攻/著 
定年帰農ならぬ / 定年初農者として、/ 大地を呼吸する / 信州人に宿っているのは、/ 歴史とま向かう活力である。 / 時には快活、陽気であるが、/ ほんとうは凄みの効いた / 批評なのだ。 /このフル回転する諧謔と / 反逆の意志の炎は、 / 読者を捲き込んで、ともに / 未来へと駆動していく。
(森田 進) SBN4−8120−1497−2 定価2100円

■ 詩集 切畑から
谷口 謙/著 
床ずれ
三男夫婦と八十五歳婆さん三人暮らし/二十二日朝八時四十分頃/起きてこないので居間の戸を開いた/布団の横 右側臥位/身体をくの字形に曲げ/ズボンとパンツを膝の所まで下げ/(排尿に行こうとしたのだろう)/みまかっていた/硬直強度 救急隊は搬送せず/最終生存確認は二十一日午後十時三十分頃/少し気分が悪い と言い/食事もせず風呂にも入らなかった/一昨年四月 高血圧で受診して以来/医者にはかかっていない/前記のよう 全身硬直強度/死斑 背面のみ全面暗紫色/強圧退色/瞳孔 四×四ミリ透徹/結膜溢血点 左下三 右下四 針小大/舌はかんでいない ブリッジの入歯上下とも/残った歯には銀冠/左手背と右背部に表皮剥離/右臀部にかなり深い床ずれ/室温六度/直腸内温度一六度 (膝下を残し下半身露出のためか低い)/左頚動脈に怒張があった/長さ六センチ 幅五ミリ 深さ二ミリ/右はない/型の如く心臓血採取/後頭眼窩刺/死亡推定時間午前二時頃/虚血性心不全/床ずれが痛かっただろうな/何の処置もしてなかったが 
ISBN4−8120−1504−9 定価2100円

■ 在日コリアン詩選集 1916年〜2004年
森田 進・佐川亜紀/著
2005年7月20日付 朝日新聞「夕陽妄語」に紹介!
日本列島を縦断する、強靭で豊穣な在日コリアンの詩の山脈。非道な植民地支配、戦後なお無反省に続く差別政策のなかで、生きづらい世を生きねばならなかった在日コリアン。胸に溜まった悲傷と憤怒と省察から紡ぎだされた詩群は、裂かれた故国の統一を願いつつ、世代・詩風・性別をこえ、空にむかって高らかに屹立する。再び戦争へとうごめきだした日本を撃ち、谷間にながれる清冽な泉で、読む者の魂を洗う。(石川逸子)
A5判508頁 ISBN4-8120-1481-6C-0092定価3,800円(5%税込)

掲載詩人(解放後)
金時鐘 崔華國 許南麒 香山末子 姜 舜 鄭承博 呉林俊 鄭 仁 庚妙達
梁石日 王秀英 金水善 崔一恵 安俊暉 宗秋月 辛鐘生 萩ルイ子
南椌椌 盧進容 崔龍源 趙南哲 全美恵 夏山直美 丁 章 申有人
李沂東 李 哲 韓億洙 李明淑 崔賢錫 李禹煥 竹久昌夫 みくも年子
李美子 尹健次 李芳世 李承淳 嶋博美 キム・リジャ 尹敏哲 李龍海
新井豊吉 ぱくきょんみ 宋年鎬 中村純

■ 詩集 記憶の風
江 素瑛/著
江素瑛さんの詩には、日々の生活に取材し、奇を衒わず、誰にも伝わる言葉で書かれるやさしさがある。郷土や家族、友人、平和などに対する篤い思いに溢れている。ときに同業の医師や医療にたいする辛口の批評もあるが、声高に言い募るようなことはない。
 医師=科学者であり、詩人=表現者である江素瑛さんのゆっくり歩く姿が、この喧騒の街に、さわやかな風を運んでいるように思われてならない。(井之川 巨)
ISBN4-8120-1491-3 C-0092 定価2,100円(5%税込)

■ 詩集 夜が明けるよ
秋山公哉/著
諷刺とユーモアの匕首がきらめくと、常識の風景は崩れ、家並みも道路も大地も空も、いきいきと新しい価値の到来を予感して震える。
危うい祈りに支えられ、生への励ましを噴出させる詩人の宇宙感覚は、記憶と真実の意味を深く孕んで迫ってくる。(森田 進)
ISBN4-8120-1489-1 C-0092 定価2,100円(5%税込)


■ 〔新〕詩論・エッセー文庫4 英米の詩・日本の詩
水崎野里子 /著
二十世紀後半からの激動する世界の状況の中で、〈詩〉はどのように展開してきたのか、そして今、いかなる課題を荷ない、展望をもちうるのか。これらの問いを携えて、詩の中心と周辺および地域性に目を注ぎ、世界と共に歩もうとする熱っぽいエッセイ。
ISBN4-8120-1476-X C-0192 定価1,470円(5%税込)


新・日本現代詩文庫31 新編 高田敏子詩集 
高田 敏子/著
高田敏子は自身の詩業もだが、「野火」に集まった千人近い無垢な詩人たちの養成に奔命し、結局、会員たちの指導に尽瘁して、そのいのちを終えたと思う。これは、カリスマ性のある指導者の宿命で仕方がないが、彼女の挺身的な情熱行動の余韻は、死後もかわらずつづいていて、彼女の衣鉢を継ぐ人たちが、活溌に行動している。(伊藤桂一)
 母にいわせると、詩はやさしくいえば「思い方のゲーム」なのだそうだ。普段の生活の中で出会う様々なものについて楽しい思い方を探すのが詩。詩は価値ある“思い方”をさぐる文学。(中略)思い方の遊びが出来ると、いざ逆境に立っても自分の生き方を支えていけるようになり、生活の味わいを深めることが出来る、と記している。(久富純江)
ISBN4-8120-1484-0 C-0192 定価1,470円(5%税込)



■ 新・日本現代詩文庫30 和田文雄詩集
和田 文雄/著
作者の精神の足場は漢詩の日溜まりの中にあるようだ。深山幽谷の景を歎美するというよりは江南ののどかな風趣を描く南宋画の境地に似ている。おそらくそれは作者の内面に秘められている農の原体験から発した詩観であろう。それが生地への郷愁に収斂せず、日本のそれぞれの風土に向けて拡散したのである。そのとき微かな巡礼の感覚が匂ってくる(松永伍一)
 一種の通過儀礼が一段落したあと彼はようやく外部のものたちと、自分のもっとも深層にある命脈部分と交信をおこなうようになる。外部のもの、あるいは深層のものたちのために自分の詩筆を使う覚悟を決めたのだ。非運の無念さのなかで没したもの、偏見や虐待のなかじっと耐え忍んでいるもの、近代化によって破壊されつくそうとしているもの、まもなく命脈を断とうとしているもの……。(古賀博文)
ISBN4-8120-1496-4 C-0192 定価1,470円(5%税込)


■ 詩集 症候群
倉知和明 /著
戦前・戦中・戦後を生きぬいてきた一市民の精神の底に刻印された黒い怪物の正体を、明確に形象したこの詩集は、まさに〈神に似せて創られたものの仕業〉を、怒りと呻きをもって告発している。そして戦争否定の意志と平和への志向は、ついに祈りにまで高められる。その戦後の日本と世界の動向をしっかと見据えつづける眼は、今日も静かに炎えている。(森田 進)
ISBN4-8120-1483-2 C-0092 定価2,100円(5%税込)


       
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